大好きな変な家族たち。◆
「志保は、どうしたい?」
父が優しく包むような甘い声で志保に問いかける。
ちょっと胸がちくりと痛む。
もちろん、
柳瀬川の長女としての立場や、
『政略結婚』のメリットも重々承知だ。
「…私…」
言葉が詰まる。
「私。よくわからない。
正直、恋愛も良くわからないし、
このままお見合いして結婚して新しい業務提携が
上手くいけば良いなと思うし、
でも、私は、好きでもないし良くわからない人と結婚は…
わからないの。」
わからない。という素直な気持ちをストレートに伝えたが、
父はいつもと変わらない優しい笑顔を私に返した。