大好きな変な家族たち。◆
===

ふぅ。

と自然にため息が出る。
私の足取りは重い。
純和風の我が家の門を見上げる。


・・・柳瀬川・・・



和風の門に、堂々と掲げられた文字。


そう。

私の名前だ。

柳瀬川 志保(やなせがわ しほ)


柳瀬川家は由緒ある公爵の血筋で
医療分野やリゾート開発に進出。
現在でも第一線で活躍している。

これでも、
良家の令嬢なのだ。





門のそばのインターホンに指を伸ばそうとしたら、
門のそばの通用口がすっと開く。


「…はぁ。ただいま」

「お帰りなさいませ。志保お嬢様。」

通用口からぬっと初老の男性が現れる。


西辻さんだ。


ところどころ白髪交じりの髪をオールバックにして、
品のいい紺のスーツを着こなしている。
50代後半のダンディーなおじ様。

そんな印象の西辻さんは、お父さんの秘書。

「相変わらず、すごいナイスタイミングでびっくり。
 見てたの?」

「いえ。そんなことは…」

少し困ったように笑って、すっとひとつ下がる。
笑ってごまかすところもさまになってるもんだ。


< 4 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop