桜の咲く頃に
「何だここも小学生でいっぱいだね」
「春休みだから」
二人はドリンクコーナーで飲み物を取ると、お目当ての充電器のあるパソコン席に直行する。
「さて、始める?」
加恋は千佳の目を覗き込む。
「機種設定して、暗礁番号入れてっと」
「ちょっと、加恋、暗礁番号どうするのよ?」
千佳が不安そうな声を出す。
「0000でいけるって。この会社のケータイは初期設定がそうなってるの。ロック掛けてる奴って浮気してるとか、何か後ろめたいことがある奴だけだって」
「そうだね。あたしも掛けてない、面倒くさいから」
「ほら見なよ。後は充電終わるの待つだけだよ」
加恋は口元をほころばせる。
「……実は、あたし試験前はここ勉強部屋代わりにしてるんだ。図書館は静か過ぎて返って落ち着かないけど、ここは適度な雑音があるから……ここはあたしの秘密基地ってとこかな」
そう言って、千佳はいたずらっぽく微笑む。
飲み物のおかわりをすると、加恋は早速例のサイトであちこちクリックしている。
「ここに『裏ページへの入り口はこのページのどこかにあります』って書いてあるけど、一体どこにあるって言うのよ」
「ねえ、加恋、あたしの勘では、この子羊の群れの中に入り口がありそうな気がするんだけど……」
千佳が横から覗き込んでいる。
「え、一匹ずつクリックしてみろって? やってみようか?」
加恋は、画面上を右から左に群がって移動する子羊を片っ端からクリックしていく。
間もなく、裏ページへの入り口画面が現れた。
「やったー! 千佳、あんがと」
加恋が思わずガッツポーズを取っている。
「裏ページへの入り口」の上でクリックすると、パスワード入力画面が現れた。
しかたなく前画面に戻る。
「このページのどこかにパスワードのヒントが隠してあります」と書いてある。
だが、加恋が目を皿のようにして探しても、それらしき物はない。
そうこうしているうちに、入店後30分が経とうとしていた。
「加恋、そろそろ行くよ。あたし延長料金払いたくないからね」
千佳は会計カウンターに向かって歩き出している。
「春休みだから」
二人はドリンクコーナーで飲み物を取ると、お目当ての充電器のあるパソコン席に直行する。
「さて、始める?」
加恋は千佳の目を覗き込む。
「機種設定して、暗礁番号入れてっと」
「ちょっと、加恋、暗礁番号どうするのよ?」
千佳が不安そうな声を出す。
「0000でいけるって。この会社のケータイは初期設定がそうなってるの。ロック掛けてる奴って浮気してるとか、何か後ろめたいことがある奴だけだって」
「そうだね。あたしも掛けてない、面倒くさいから」
「ほら見なよ。後は充電終わるの待つだけだよ」
加恋は口元をほころばせる。
「……実は、あたし試験前はここ勉強部屋代わりにしてるんだ。図書館は静か過ぎて返って落ち着かないけど、ここは適度な雑音があるから……ここはあたしの秘密基地ってとこかな」
そう言って、千佳はいたずらっぽく微笑む。
飲み物のおかわりをすると、加恋は早速例のサイトであちこちクリックしている。
「ここに『裏ページへの入り口はこのページのどこかにあります』って書いてあるけど、一体どこにあるって言うのよ」
「ねえ、加恋、あたしの勘では、この子羊の群れの中に入り口がありそうな気がするんだけど……」
千佳が横から覗き込んでいる。
「え、一匹ずつクリックしてみろって? やってみようか?」
加恋は、画面上を右から左に群がって移動する子羊を片っ端からクリックしていく。
間もなく、裏ページへの入り口画面が現れた。
「やったー! 千佳、あんがと」
加恋が思わずガッツポーズを取っている。
「裏ページへの入り口」の上でクリックすると、パスワード入力画面が現れた。
しかたなく前画面に戻る。
「このページのどこかにパスワードのヒントが隠してあります」と書いてある。
だが、加恋が目を皿のようにして探しても、それらしき物はない。
そうこうしているうちに、入店後30分が経とうとしていた。
「加恋、そろそろ行くよ。あたし延長料金払いたくないからね」
千佳は会計カウンターに向かって歩き出している。