好きにならないで。
「どこ探した?」
「教室と屋上以外は探したよ」
あたしがそういうと麻衣は「うーん」と言って考え始めた
「麻衣…?」
「…ねぇ、何で屋上は探してないの?」
「え?…鍵がかかってる筈だから入れないんだよ」
そう答えると麻衣はあたしの腕を引っ張って階段を上り始めた
「えっ?麻衣?屋上は……っ」
「あのさ、麻遊だったらどうする?」
「?」
いきなり麻衣が止まってあたしを真っ直ぐ見ながら聞いた
その目はすごく真剣だった
「……麻遊がもし佐凪さんの立場だったら、どこに行く?」
あたしだったら……
「一番、空に近い場所に行く。」
あ……
「ね?みんな同じだと思う
……空ってさ、見てれば落ち着くでしょ?自分がこんな小さな悩みで悩んでたんだ。って思う事、よくあるんだ
近くでみたらなおさらね
それだけ心が落ち着く場所ってさ……
この学校じゃ、屋上だけじゃない?」
麻衣に言われて気づいた
あたしだって、あの頃ずっと空を見てた
だったら……里奈も