好きにならないで。



「どこ探した?」


「教室と屋上以外は探したよ」


あたしがそういうと麻衣は「うーん」と言って考え始めた



「麻衣…?」


「…ねぇ、何で屋上は探してないの?」


「え?…鍵がかかってる筈だから入れないんだよ」



そう答えると麻衣はあたしの腕を引っ張って階段を上り始めた



「えっ?麻衣?屋上は……っ」

「あのさ、麻遊だったらどうする?」

「?」


いきなり麻衣が止まってあたしを真っ直ぐ見ながら聞いた


その目はすごく真剣だった




「……麻遊がもし佐凪さんの立場だったら、どこに行く?」



あたしだったら……


「一番、空に近い場所に行く。」


あ……


「ね?みんな同じだと思う
……空ってさ、見てれば落ち着くでしょ?自分がこんな小さな悩みで悩んでたんだ。って思う事、よくあるんだ
近くでみたらなおさらね
それだけ心が落ち着く場所ってさ……
この学校じゃ、屋上だけじゃない?」


麻衣に言われて気づいた

あたしだって、あの頃ずっと空を見てた


だったら……里奈も



< 109 / 285 >

この作品をシェア

pagetop