好きにならないで。


あたしは泣き疲れて寝てしまったらしい




「起きろ」と言う声で目覚めた



目を開けると、目の前にはご飯が置かれていた




「食べろ」



「んんんー」




「あ、そっか。

取ってやるから食え」




ビリっとガムテープを一気に剥がされた。


「………っ」



あまりの痛さに涙が出そうになったけど、我慢した





「ほら、食え」




ずいっとご飯を突き出されたが、食べる気にはなれなかった





だからふるふると横に首を振った




すると、





「食えつってんだろ!!!!」



と言う怒声と共に左頬に激痛がはしった




「……っ!!」




口の中に鉄の味がしてこの時初めて“殴られた”と実感した





カシャンと足枷が音をたてた




「食え」


「………んぐ」



無理矢理押し込まれたため「…ごほっ、…」



咽せて吐きそうになった




けど、この男はそうさせてくれなかった






ゴクって飲み込むとまた押し込んできて




その繰り返しをしてご飯を平らげた





あたしはもう苦しくて苦しくて、気持ち悪くて、…






でも、抵抗しようとは思わなかった







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