好きにならないで。


「お、じゃあ…これで全員揃ったな

号令頼む」



あたしたちが体育館に着くと吉岡が言った

日直が号令をかけた

「きょーつけー、れい!!」



「「「お願いしまーす」」」



「よし!じゃあ、今日は初の体育の授業だな!!バスケやるぞー」



「せんせー、もう各自でやっていいだろー?」



「あ、おい!!待てよおまえらー!!やってほしいことがあるんだよ!!」



やってほしい事…?




吉岡はチラッとこっちを見て言った




なぁーんか…嫌な予感。




「神田にやってもらおーか」



「え゛…

嫌、です」



「はい、ボール」



人の話聞けぇ!!!!





「こっからシュートしてね」




最悪。




入んなくても知らないから




みんなにバレないようにため息をついた





ダム…っとボールをバウンドさせて構え、手を離した




すると、ボールはゴールに吸い込まれるように入ってパシュ…ー、っと音をたてて落ちていった



「「「わぁあぁあ!!!!!」」」


入った瞬間クラスのみんなが歓声をあげた


「おー、さすが!!いぇーい!!」



「……っ、い、いぇーい!!」



みんな、気づいてないよね?



躊躇ったこと。



震えていること。






気づいてほしいけど気づかないでほしい。




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