好きにならないで。



「神田さん、ちょっと耳貸してくれる?」

佐々木くんは真っ直ぐあたしを見て言った


「うん、何?」



若干距離をとりつつ、佐々木くんに近づいた



そうしたら耳元でこそっと言われた




「ーー?ーーー。ーーーーーー?」




「え?……うん。うん。そういう事ならいいよ」




あたしは承諾した






遥翔達を見るとポカーンと口を開けて固まっていた







「佐々木くん、よろしくね」



あたしはそう言って微笑んだ



そうしたら佐々木くんもまた「うん、ありがとう…あ、優汰でいいよ」って言って微笑んだ





「わかった、あたしも麻遊でいいよ」




あたしがそう言うと、ポカーンとしていた二人は今度は目を見開いて固まっていた



あたしから“麻遊でいいよ”と言ったからだろう



けど、この人なら平気な気がする





そう、思った




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