右手に剣を、左手に君を


それには、雅自身が信じられないという顔をしていた。


よろよろとしていた身体は、ついにしっかりと床に立つ。



「雅……」

「恒一、よけろ!!」



雅の身体は玉藻に操られ、十束の剣で、宙をなぎ払った!!



「!!」



放たれた三日月の衝撃波は、まっすぐに俺を狙う!!



「コウくん!!」



ガリガリガリガリ!!


床を、衝撃波がえぐった。


俺は横に跳び、何とかそれを避けた。



《惜しかったわね。

そうそう、御津恒一だけでなく、この子も殺していいから》



玉藻は足元の健太郎を見た。


抵抗する雅の身体は、ぎしぎしと軋みながら、健太郎の方を向いてしまう。


その腕に渚が、必死で食らい付いた。



「雅!やめて!」

「はな、せ、危ない……!」

「渚、雅から離れろっ!!」



渚はぶんぶんと首を振る。


俺は力をふりしぼり、そちらに向かおうとした。


しかし、その行く手を黒い翼が阻む。



「あの娘は今しばらく生かしておく。

お前は自分の身を心配しろ」


「!!」





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