右手に剣を、左手に君を



なんと、俺は龍神の姫に抱きつかれてしまった。


確かに存在する、温かく柔らかな体が押しつけられている。


突然のことに、頭がついてこない。



「忠信様……」



龍神の姫が、胸にすりよる。


すがりつくような様子に、俺は思わず、彼女をひきはがした。



「違う。俺は、忠信じゃない。

俺は、御津忠信の子孫、恒一だ」


「しそん……?」



ひきはがされ、悲しい目をした彼女は、首をかしげた。



「善女竜王」



途方に暮れた俺に、ばあちゃんが助け舟を出す。


名前を呼ばれた彼女は、初めて周りを見渡した。




「あなたは……?ここは一体……」


「私は、御津歌子(ウタコ)と申します。

あなた様は、千年の間封印されていたのです。

覚えていらっしゃいませぬか、妖(アヤカシ)を相手に、三剣士と戦ったことを」


「三剣士は……知っています」



龍神の姫の瞳に、だんだんと光が蘇っていく。


やはり、寝ぼけてたんだな。


しかし彼女は、あれ?と、首をかしげた。



「どうなされました」


「……戦いました。

三剣士と、妖を……倒して……」


「そうでしょう」


「でも……あれ?あれれ?」



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