右手に剣を、左手に君を
「わかんねぇんだよなぁ。
気がついたら、体育館で玉藻に尋問されてた。
渚の正体を話せとか、色々」
「よく耐えたな。
雅でさえ操られたのに」
「うーん、だって、操られるのシャクじゃね?
もー必死で抵抗したぜ」
……こいつ、わりとすごかったりして。
「じゃなくてだな、問題は、米倉に関しての記憶がない点だ」
健太郎は話を元に戻す。
「米倉に呼び出されたはずが、いつのまにか玉藻につかまってた。
これを、どう思う?」
「……まさか」
「……そう。ま、俺の勘だけど。
米倉=玉藻とは確信できないけど、妖と関係しているのは確かなような気がする」
まさか……。
でも確かに、学校に妖が入り込んでいるだろうと前から疑っていたし。
米倉はこの町の生まれじゃない。
いつの間にか、同じクラスにいたという人間で……。
「コウが学校に来てない間に、一応調べてみたんだけどさ。
隣のクラスで倒れた奴いたろ?
あいつも倒れる前、米倉に呼び出されたらしいんだ。
二人で廊下で話しているのを、見た奴がいた」
「……そうか」
そうだよな。
健太郎が根拠もなく人を疑う事はない。
「それに、尾野。
あいつも、コウと同じように休んでたんだ」
「え?」
「そう。お前と迦楼羅が怪我をした、翌日から」
大きな目が、意味ありげに光った。