右手に剣を、左手に君を
「ばあちゃん、妖が大量発生したらしい。
今から行ってくる」
「あぁ、そうか……気をつけてな」
ばあちゃんは、素直に俺を見送る。
部屋を出ると、ちょうど渚が、おやつを求めてウロウロしていた。
「渚。雑魚の妖を退治に行ってくる」
「ふえっ?じゃ、じゃあ、私も行く!」
「わかった、一緒に行こう」
俺はさっきした『一人にしない』約束を思い出して。
渚の右手をとって、共に玄関に向かった。
そんな俺達を、ばあちゃんが複雑な思いで見つめていた。
「……どうしたものか……」
ため息混じりの声が、誰もいなくなった部屋に響いた。