右手に剣を、左手に君を



「これで終わりか?」



健太郎が、周りを見回した。


雅と健太郎は、神社の裏山に発生した妖を、たまたま見つけたらしい。


人の体に牛の頭を持つ妖だった。


人間に危害を加えない妖なら、放っておくのだが、

やつらは人里に向かい、降りている途中だった。


つまり、人間を襲うつもりだったのだ。



呼び出された俺と渚がついた時は、まだたくさんいたが。


今やっと、全てを処理した。



「ふぅ~」



渚が安堵のため息をつく。


妖がいなくなった裏山は、

俺達の攻撃で木々が傷ついたりしている他は、元通りになった。


しかし……。



「集団で人里に降りようとするなんて……」



尋常じゃない。


未然に防げたから良かったが、

本当に人を襲っていたら、町は今頃パニックだ。


本気で、早く何とかしなければ……。



「……そういえば!」


「何だよ、コウ」


「ばあちゃんが……新しい資料を見つけたらしい」


「マジで!?」



健太郎を筆頭に、三人が身を乗り出す。



「で!?何がわかったんだ!?」


「……ごめん、話の序盤で家を出てきたから……」



聞いたのは、『龍神剣』の名前だけ。


拍子抜けした三人は、ため息をついた。



「じゃあ、今からババ様をたずねるとするか」


「そうだな。行こう」



俺達は裏山を後にして、神社へと向かった。

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