右手に剣を、左手に君を



本当は、俺達が眠い。


ばあちゃんは、あっさりとそれを見抜いた。



「アホ言うな。
姫様はお目覚めになったばかりだろうが」



はぁ……、そうでした。


俺達はため息をついた。


ばあちゃんがこうなったら、もう誰にも止められない。



「善女竜王。

何故あなた様が封印されたのか、その記録は残っておりません」


「わからないんですね」



龍神の姫はまた、悲しそうな顔をした。



「はい。しかし、あなた様が人間のために力を貸してくださった記録は残っています。


あなた様は古代から何度も、日照りが続いた時には、雨を降らせてくださった。


そして、千年前。

妖(アヤカシ)がこの国を乗っ取ろうとした際には、三剣士と共に、それを退けてくださった」


「はい」


「そして、現在。

あなた様の封印を解き放った理由も、千年前と同じなのです」



首をかしげる龍神の姫を前に。



ばあちゃんは、長い長い話を始めた。




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