右手に剣を、左手に君を



千年前……。


平安時代だ。


この国ではまだ、妖怪や神様が、人間の生活に密接していた。


人間は、身の回りの全てに神や精霊の存在を感じ、敬い、畏(オソ)れた。


妖怪は、頻繁に人間を騙して喜んだり、時にはとって食ったりした。


今では、誰も信じない話だ。




とにかく、そんな時代。


妖怪の王【空亡(ソラナキ)】が、この国を支配しようと企んだ。


空亡は、魑魅魍魎(チミモウリョウ)を引き連れ、飢饉(キキン)や疫病(エキビョウ)を流行らせた。



そこで立ち上がったのが、時の権力者に使えていた三剣士。



三剣士の一人、御津忠信(ミト・タダノブ)……これが俺、御津恒一の先祖。

武器は草薙剣(クサナギノツルギ)。



柏原晴明(カシワバラ・ハルアキ)……これは柏原雅の先祖。

武器は十束剣(トツカノツルギ)。



西条兼良(サイジョウ・カネヨシ)……西条健太郎の先祖。

武器は布都御魂(フツノミタマ)。

変な名前だが、これも剣だ。



この三人は、古代から伝わる剣を持っていた。


先祖のそのまた先祖が、神から与えられたという剣だ。


それを扱う彼らは、人間離れした霊力を持っていた。


しかし、やはり人間の力だけでは限界があった。


妖怪も、もともとは長く生きすぎた動物や植物、神になり損ねた者達だ。


長い戦いの中で。


三剣士は、このままでは空亡を倒せぬと判断し、神の力を借りる事にした。


そして……。




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