右手に剣を、左手に君を
きっと、私は……。
また、人間になりたがってる。
人間になって、気の良い彼等と一緒に歳をとりたい。
コウくんの、そばにいたい。
コウくん……。
好きな人がいない世界は、いつも寂しいんだよ。
私も寂しかった。
でもね。
今は、この世界を守りたいんだ。
コウくんが、いるから……。
私は神で、コウくんは人間。
コウくんはいつか、おじいちゃんになって、私を置いて死んでしまう。
そうしたら……。
また私は、一人……。
人間になりたい。
人間になって……。
コウくんに、好きだって言いたいよ。
一緒にいてほしい。
コウくんがいない世界で一人で永遠に生きるのは、
私にとって、最悪の。
悪夢なんだよ……。
「バカだぁ……。
言ったからって、受け入れてくれるとは限らないのにねぇ……」
雨が、いつの間にか肺にまで入っちゃったみたい。
だって……。
そうじゃなきゃ、こんな事で。
コウくんの温かさを思い出しただけで。
涙が、出るわけないもの。
ごしごしと涙をふいて。
取り込んだ洗濯物を、部屋干しにしようと立ち上がった途端……。
「ふわっ!」
おばあ様のいる部屋にある“でんわ”が、けたたましく叫んだ。
「はれれ?」
“でんわ”は、なかなかなりやまない。
まさか、おばあ様……。
異様な雰囲気を察した、その時……。