右手に剣を、左手に君を
信じてほしい
夜になって……。
すぐかけつけてくれた雅たちのおかげで、ばあちゃんは何とか眠りについた。
玉藻の妖気にやられたせいか、まだ熱は出ているけど……。
「渚に癒してもらうのが、一番良いんだけどな」
そんな発言をした健太郎に、雅が咳払いをした。
健太郎はしまったと言うような顔でこちらを見る。
「…………」
何と言っていいか、わからない。
事情は説明した二人も、何と言っていいかわからないようだった。
渚は倒れて、眠ったままでいる。
「……もう、目覚めないかもな……」
俺がぽつりと言うと、二人とも顔を上げた。
「どうして?」
雅がたずねる。
「封印から解放された時も、なかなか目覚めなかっただろ?
あれは、忠信のやったことにショックを受けて、ああなってしまったんじゃないか?」
「……何の根拠もないな」
俺の意見に、雅は同意しなかった。
「……渚は、もう、目覚めない方がいいのかも……」
「何バカなこと言ってんだよ」
さらに弱音を吐き続ける俺に、健太郎が言った。
だけど俺の口は、止まらなかった。
誰かに聞いて欲しくて、たまらなかったんだ。