右手に剣を、左手に君を
揺れる心
一夜明けて……。
渚は、落ち着きを取り戻したようだった。
泣きはらした目で俺達の前に現れ、
「昨日はすみませんでした」
と、頭を下げた。
一睡もできなかった俺は、重たい頭でそれを見ていた。
ばあちゃんは、まだ寝ている。
かろうじてまだ気力が残っているのは、雅と健太郎だけだった。
「あー、大丈夫大丈夫。
いきなりでびっくりしたよなー」
「とりあえず、朝食にしようか。
何が食べたい?」
最大限に気を使う彼等とも、渚は目を合わせなかった。
静かに座りながら首をふって、雅の申し出を断った。
「1つ……教えて」
「何だ?」
「玉藻が言った事は、全部……本当なの?」
二人が俺を見る。
しかし口を開かない俺の代わりに、雅が説明をした。
「……龍神剣と、忠信のした事は本当だ」
渚の眉が、ぴくりと動く。
しかしもう、泣きはしなかった。
涙は昨晩、かれてしまったのかもしれない。
「だけど、それ以外は、誤解だ。
俺達が最初から知っていたとか、
お前を利用するつもりだったというのは……」
「もう、それはいいよ……」
渚は雅の言葉を、途中で遮ってしまった。
もう聞きたくないと、言うように。