右手に剣を、左手に君を
「リカお姉さま……!?」
「善女!!」
ふすまを開けたのは、善女竜王……渚だった。
驚きを映した青い瞳が、見開かれる。
「リカ……お姉さまって……」
「善女、その略称はやめなさいと言っているでしょう」
「えー、だって、長いし舌噛みそうなんだもん」
倶利伽羅……クリカラ……リカ……
そういうわけか……。
渚は相変わらず俺を無視して、リカさんに話しかける。
「いきなりどうしたの!?迎えに来てくださったの!?」
「そうよ。封印が解けたのは知っていたけど、あなたったら、なかなか帰ってこないんだもの。
それで気配を探ったら、こんなところにいるじゃないの。
いったいなんでまた、御津家にお世話になっているの?
あなたを利用して傷つけた、人間の子孫の家に」
リカさん、今それは、禁句です……。
俺と渚は一瞬にして、どーんと沈んでしまった。
「な、なに?なんなのよ、あなたたち」
ずずーんと沈んだまま何も話さない俺たちに、リカさんはすぐにしびれを切らした。
そして。
がしっ。
「ぎゃああ!」
「お姉さま!!」
リカさんはいきなり、俺の頭を両手でつかみ、至近距離に顔を近づけてきた。