右手に剣を、左手に君を
そんな渚の肩を、リカさんが優しく抱く。
「そうよ。
だから、もう人間なんか見捨てて、海に帰りましょう」
おいおい……。
思わぬ急展開に、状況を見守るしかできない。
すぐに首を縦にふってしまうかと思った渚は、
意外に戸惑った顔をしていた。
「待って、待ってお姉さま……」
「何をためらう事があるのです」
「か、帰ります。
昨日から、そのつもりでした。
でも、あの……」
渚は困った顔で、こちらをちらりと見た。
もしかして……。
さっきの、誤解が解けた事で、気持ちが揺らいでるのか……?
何か助け船を出そうとした瞬間、渚が恐る恐る口を開いた。
「へ、変なことを、聞いても良いですか……」
「なに?」
「……あの……神が人間になる方法って、ありませんか……?」
は???
俺とリカさんは、一瞬同じ顔をした。
同じように、頭の上にハテナマークが浮かび……。
次の瞬間、
パァン!!
乾いた、音が部屋に響いた。
渚が畳に倒れ込む。
リカさんが、渚の頬を打ったんだ。