右手に剣を、左手に君を
草薙剣、崩壊
夜になって……。
雅と健太郎が、学校から戻ってきた。
昨日うちに泊まったため、一度家に帰り着替えてきた彼らは、
倶利伽羅竜王の突然の訪問に驚いていた。
「ありかよ、そんな展開……」
「しかも神たちは、この戦いに協力する気はないときたか……」
男が三人きりの居間に、気まずい沈黙が落ちる。
八方ふさがり。
そんな単語が、全員の顔にちらついていた。
「尾野と米倉に何か変わったことは?」
「それがさあ、何もないんだよ。
尾野は普通に学校に復帰してるし、米倉も相変わらずだ」
「そうか……」
「ただ……」
雅が、健太郎の言葉を補足する。
「また、あの二人と野田が一緒にいるのを、見かけた人がいる」
「野田?」
そういえば、そんなやついたな。
渚のことが好きで、尾野に頼んで告ったけどフラれた野田。
あのいじめられっこが、なんでまだ米倉や尾野と一緒にいるんだ?
「何か関係があるのか……?」
「そう思って、野田に探りを入れてみようと思ったんだが。
放課後声をかけようとしたら、矢のように逃げられた」
「…………」