右手に剣を、左手に君を
健太郎の提案は、あっさり却下された。
そこで、居間のふすまが開いた。
「騒がしいね……なんだい、そろってるのかい」
「ばあちゃん!」
「ババ様!」
玉藻の妖気と戦い、霊力も体力も消耗したばあちゃんが、よろよろと歩く。
近くにいた健太郎が手を貸し、ゆっくりと座らせた。
「私が寝ている間に、色々あったみたいだね」
「…………」
俺たちは誰も、返事ができなかった。
この数日、何の成果も残せていない自分達が恥ずかしかったからだ。
「ところで、恒一」
「はい」
「結界は無事にはれたかい?」
「……あああっ!!」
忘れてた!
リカさんに邪魔されて、渚と話をして。
昨日一睡もしてなかったから、少し横になって。
そのまま忘れてた……。
「情けない孫だねえ……」
「うわ、マジごめん!ちょっと行って来る!」
ばあちゃんのため息を背に、札を持って神社へ走る。
一体なにをやってるんだ、俺は……。