右手に剣を、左手に君を
空亡までもが、龍神剣を欲しがっているだって?
そんな……。
「空亡様は、人間世界を掌握したら、神が自分を滅ぼしに来ると言うのよね」
「神が……」
「そう。神達は人間を見捨てた。
だけど、やっぱり自分達が一番じゃなきゃ嫌な、傲慢な人たちなのよ。
人間がいなくなったところで、空亡様を亡き者にしようと、企んでいるらしいわ」
「え……っ?」
渚が目をみはる。
そんなことは、リカさんは一言も言ってなかった。
いや、リカさんはまだ知らされていなかっただけとも取れるが……。
「人間は楽勝でも、神はやはり脅威なのよ。
だから空亡様も、神と同様の力を手にいれたいというわけ」
ねー、と玉藻が迦楼羅に同意を求めた。
「龍神の姫。我らに龍神剣をゆずっていただければ、悪いようにはしない」
迦楼羅がささやく。
そんなの、嘘だ。
昔のことを空亡が忘れるはずはない。
きっと、渚は復讐として、酷い目にあわされる……。
それに、龍神剣を空亡に渡したりしたら、
今度こそ本当に神の世界から追放されてしまう。
「……でも、龍神剣は、私が愛するもののために一心に祈ってやっと産まれるもの。
そんな、無理やり渡せと言われても……」
渚もなんとか時間をのばそうとしているようだ。
じれったいというように、迦楼羅は首を横に振った。