右手に剣を、左手に君を
「だからこちらも、剣で相手をしよう」
迦楼羅はふところからあの火炎地獄を起こす笛を出し、玉藻に放ってよこした。
「ちょっと、いいの?」
「良い。それを使わずとも、人間には負けない」
自信たっぷりに言った迦楼羅に向かって、玉藻がため息をついた。
「負けないかどうか、やってみなくちゃわからないだろ!!」
草薙剣に雷をまとわせ、今度はこちらから斬り込む!
「遅い!」
しかし俺の一撃は、迦楼羅の短剣に、簡単に受け止められてしまった。
いつも持っている笛と同じくらいの長さの短剣。
もしかすると長刀より、扱いやすいのかもしれない。
俺はとっさに、身を引いた。
それを追いかけるように、迦楼羅の短剣が迫る!
「くっ」
短い剣だが、長い腕で、俺ののどを狙ってくる。
あっという間に間合いに入ってくるそれを、なんとか避けきった。
「はぁ……っ」
結界をはったばかりで霊力を消耗していた俺は、すぐに息があがってしまう。
迦楼羅はそれを、つまらなさそうに見つめた。
「お前の力は、こんなものではないだろう。
見せてみろ、先日の雷鳴を……」
「……は……そんなに見たきゃ、見せてやるよ!!」