右手に剣を、左手に君を
学校にて
…………?
足下がふわふわと落ち着かない。
周りを見る。
しかし、何もない。
濃い霧がかかったように、何も見えない。
「どこだよ、ここ……」
早く帰らなくては。
しかし、自分がどこから来たか、ここがどこなのかもわからない。
どうしようかと思っていると。
突然、左手が熱を持った。
「草薙剣……?」
何故かはわからない。
しかし、自分の中で、草薙剣が鳴いているのを感じる。
俺は集中し、草薙剣を呼び出した。
左手から現れた草薙剣を、右手で握る。
すると、草薙剣がまた金色に輝きだし……
その光が、目の前のモヤの中に人の姿を映し出した。
足から腹、やがて首から頭へと。
光の粒が、その人物を構成していく。
俺は声を奪われ、その光をただ見つめていた。
やがて、その人物が全身を現した時……。
俺は、自分の目を疑った。