右手に剣を、左手に君を


しかし。


空亡や魑魅魍魎との戦いは、なかなか終わらなかった。


そんなある日、とうとう空亡と直接対決する時がきた。


曇り空にぽかりと口を開けた、巨大な黒い渦。


その渦の中心に、真っ赤に燃える目玉が1つ。


それが今まで誰も見たことのなかった、空亡の姿だった。



洪水のようなその妖力に、全てが飲み込まれそうになる。


三剣士の神剣も全く太刀打ちできず、私達は全員、深い傷を負った。


そんな私達に、渚が駆け寄る。


彼女は、涙を流しながら……。


その小さな胸に、自らの霊力の全てを集約した。


そこで、私達は見た。


彼女の胸から、龍神剣が産まれたのを――。


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