右手に剣を、左手に君を


「何してるんだい。
さっさと食べちまいな」



……結局、遅刻すれすれの時間に起きた俺に、ばあちゃんは冷たい声をかけた。


ばあちゃんが深夜まで引っ張るからだろ……。


変な夢まで見ちまったし。


しかし、自分よりはるかに早く起きて、全員分の朝食を用意したばあちゃんに、文句は言えなかった。



雅も健太郎も、眠たそうな顔で、もくもくと朝食を食べている。


昨日着ていた制服のまま、二人はいた。



「やっぱ、土日にすれば良かったな」



味噌汁をすすって、ボソリと呟いた。


ばあちゃんに一刻も早くと急かされ、封印を解放したが……。


あんな役立たずの龍神、本当に解放する意味あったんだろうか。



「ごちそうさま」


「じゃあ、行くか」


「あ、ちょっと待ちな」



席を立った俺達を、ばあちゃんが止めた。



「お前達、姫様をお守りする役を忘れてないかい?」


「は?」


「姫様に早くこの時代に慣れてもらうためにも、お前達はなるべく行動を共にしな」



……て、言われても。



「ババ様、じゃあ学校休んでもいいの?」



勉強が苦手な健太郎が、目を輝かせる。



「良いわけないだろ。
私がお前の両親に顔向けできない」


「じゃあ……どうするんですか?」



雅の質問に、ばあちゃんは悪い顔でニヤリと笑った。



「一緒に行きな」


「……はあぁ!?」



一緒にって、渚と学校へ?


ばあちゃん正気か?とうとうボケたか?


しかしばあちゃんは悪い顔のまま、渚を呼んだ。



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