右手に剣を、左手に君を


学校に着くと、まず俺達は自分の教室に急いだ。




「米倉は?」



教室を見渡しながら、雅が女子生徒に声をかける。


しかし……。



「米倉、さん……って、誰?」



彼女は普通に、そう答えた。



「米倉愛だよ!でっかい美人!」


「誰それ?芸能人??」


「はぁ!?」



話を引き継いだ健太郎も、わけのわからない受け答えをされて面食らう。


俺は教室を出て、隣のクラスへ向かった。



「尾野!尾野は……!」



教室を見渡すが、尾野の姿もない。


隣のクラスのやつらが、怪訝な目でこちらを見ていた。


目が合いそうになると、すぐに視線をそらされた。



「どういう事だ……?」



嫌な予感がする。


すぐ廊下に出ると、健太郎が駆け寄った。



「誰も反応してくれねー!そっちは!?」


「同じだ」



少し遅れて、雅が教室から出てきた。



「おかしい。

まるで、最初からいなかったみたいに……

名簿からも、机も何もかもから、名前が消えてる」


「そんな……!」



妖と関係しているはずの彼らが、こつぜんと存在を消してしまった。


残る手がかりは、ひとつ。


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