右手に剣を、左手に君を
「違うっ!コウじゃねぇよっ!って……!」
健太郎が反論する間にも、そのクラスメート達もバタバタと倒れてしまった。
「くそ……っ!」
「恒一、あれを!」
雅が指さす先に。
俺達は、確かに見た。
この前と同じように、
倒れた生徒達の口から魂が抜けていくのを。
それらは、全て天井に上がっていく。
「屋上だ!」
俺達は、教室を出る事にした。
屋上に続く階段を上ろうとした時。
意外な人物に出会った。
「野田……?」
「……!」
屋上から降りてきた野田は、俺達から逃げるように走っていこうとする。
その首を、雅が長い腕で捕まえた。
「離せっ!」
野田はもがく。
「離せない。
どうしてお前は倒れないのか、説明してもらわなければ」
雅の冷静な物言いに、ハッとする。
そうだ。
全校生徒が次々に倒れているのに、何故野田はピンピンしているんだ?
「ここで様子をうかがっている。
お前達で、屋上を見てきてくれ」
俺と健太郎はうなずく。
雅は、もがく野田をしっかり拘束したまま、屋上の扉の前に待機した。
「行くぞ」
二人同時に言って、扉を開いた。