右手に剣を、左手に君を
屋上には、二人の人物がいた。
その周りを、抜けていった人間達の魂が、ふわりふわりと浮かんでいた。
「やっぱり……!」
健太郎が悔しそうに唇をかむ。
二人の人物とは。
米倉愛と、尾野英明だった。
制服を着た二人は、こちらに気づく。
「あら?御津くん。
あなた、昨日死んだんじゃなかったっけ?」
「あの後、仲間に助けられたか。
悪運の強いやつだな」
二人は次々と、あの場所にいなければ知り得なかった事を口にした。
「お前達は……」
「玉藻に、迦楼羅か……?」
「やっとたどり着いたのね。
間抜けな剣士さん達」
米倉が、ふふ、と笑うと。
その姿は一瞬にして、
尖った獣の耳と、九本の尾を持った、妖狐に変わった。
同じように、尾野も……。
二回り身体が膨張し、背中に黒い翼が、現れた。
やはり、二人が。
玉藻と、迦楼羅だったんだ。
人間の姿を借りて、この学校に入りこんでいたんだ……。