右手に剣を、左手に君を
「姫様どうぞ」
「……げっ!!」
ばあちゃんが、連れてきた渚は……。
なんと、俺達の学校の女子の制服を着ていた。
セーラー襟(エリ)のついた、濃紺のワンピースタイプの制服だ。
それに、黒いニーハイソックスを合わせていた。
そして、銀色の髪も、青い瞳も、茶色になっている。
「スゲー!超可愛いじゃん!」
健太郎が感嘆の声を上げる。
確かに……。
可愛い。
この格好をされて、気づく。
小さな背に、小さな頭。
長い髪に、大きな瞳。
ほっそりとした、白い手足……。
こいつ、俺のどストライクなんだ。
誰か、スカートとニーハイの間の絶対領域ばかり見てしまう俺を殴ってくれ……。
「ババ様、これはどうやって……」
雅がばあちゃんにたずねる。
「姫様の力だよ。
ただの着物を、力で制服に変えたんだ」
「力使えるのかよ!」
思わずツッコむ。
「うん、やってみたらできたの♪
どう?人間ぽい?」
渚は自分の出来栄えに満足したらしい。
その場でくるくると回ってみせた。
「うん、超可愛いよ!」
「違和感ない。見事だな」
健太郎と雅が、続けてほめる。
俺は、マヌケな事に……。
ほめるタイミングを、逃してしまった。