右手に剣を、左手に君を
**



「神社の息子!」


「空中浮遊してみろよ!」


「瞬間移動しろよ!
シュンッ!って、ほら!」



…………。


親に捨てられ、こっちの小学校に入学した俺を待っていたのは、

こんな言葉を浴びせられる毎日だった。



有名な、住吉神社に住んでいる。


だけど、両親はいる気配はない。


行事はいつも、ばあちゃんが参加している。


都会から来て、まだ慣れていないらしく、

自分達とは言葉のイントネーションが、微妙に違う。


それらはすぐに、差別すべき対象となってしまった。


俺は毎日、からかわれ、すれ違いざまに小突かれ、たまに靴を隠された。


草薙剣を振り回して、そいつら全員切ってやろうかと思った事もあった。


……今の野田と一緒だ。


とにかく、ばあちゃんがしっかりと教え込んでくれたおかげで、

俺は犯罪者にならずに済んだ。


草薙剣を人前で、決して見せてはいけない。


そんな事をしたら、お前はますます孤独になるよ、と。


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