右手に剣を、左手に君を


……あれから、何年が経っただろう。


俺は二人のおかげで、ねじまがらずにすんだ。


親友と呼べるのは雅と健太郎だけだったけど、

他のやつとも、概ね良好な関係を築く事ができるようになっていた。


何もしなかったけど、中学の時は彼女もいたし。


だけど、野田は……。



「俺さえいなければ……。

渚は、お前のものになったと思うか?」


「当たり前だ。

あの妖怪達の手を借りれば……」


「それで、お前は幸せなのか?

渚がお前の事を好きじゃなくても良いのか?

そんなの、むなしいだけだ……」


「わかったような事を言うなっ!」


「わかるよ。

俺だって、お前とそう変わらないんだから……」



野田のむき出しの敵意が、少しずつ薄れていく。


そう……。


俺達は、そう変わらない。


ただ、運良く友達ができて。


運良く、ばあちゃんがいてくれただけ。



「そんな事ねーよ、コウ。


前にも言ったけど、自業自得だろ。


いじめられたくなきゃ、小綺麗にして明るくしてろよ」


「……健太郎、前にも言ったが、皆がそうできるわけじゃない……」



雅の言葉に、健太郎はうなずかなかった。


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