右手に剣を、左手に君を
そうだ。
この剣は、渚と同じ龍神の姫の剣……。
「倶利伽羅剣よ……。
俺を、渚の元へ導いてくれ」
囁きかけると。
剣の切っ先から、一筋の光が現れた。
「おぉ!?なんだそれ!?」
バサリと妖を斬りながら、健太郎が声をかけてきた。
剣から出た光は、足下に落ちている。
「下だ!この光が、渚の居場所を教えてくれてるんだ」
「本当か」
雅が反応し、こちらをのぞきこむ。
うなずくと、二人が俺の背を押した。
「よし、コウ、行けっ!」
「俺達は先に、上に向かうから」
まだ余裕はあるみたいだが、上に行けばきっと、
迦楼羅や玉藻、それに空亡がいる。
怖いはずはないんだ。
だけど二人は昔と変わらず、俺の背中を押してくれる。
「わかった!」
そう言うと、剣はより強い光を放つ。
床のある一点をさしたそれは、早く早くと俺を急かす。
「こうか……?」
よくわからないままその床を剣で突き刺す。
すると、一瞬だけまぶしいくらいの光が、床から放たれた。
その輝きがなくなり、床を直視すると。
そこに、地下に続く隠し扉が現れていた。