右手に剣を、左手に君を
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捕らわれて、どれからい経つんだろう……。


丸一日も経っていないはずなのに、


もう何年もここにいる気がする。



私は目が覚めたら、この牢獄の中にいた。


木造の牢獄は、強力な結界がはってあるみたい。


多分、私が力を取り戻せないように……。


消滅するかしないか、ギリギリのところを保っているみたい。


身体に力が入らなくて、ぼんやり天井を見上げる。


龍神剣……。


無理矢理取り出すって、どうやってやるんだろう。


痛いのかな。


もうそれも、どうでも良くなってきていた。


頭に浮かぶのは。


あなたの事ばかり。

耳元で、優しく好きだと言ってくれた、あなたの事ばかり。



コウくん。



私のために、剣を捨てたコウくん。



傷だらけになっても、私を責めなかったコウくん。



今、どうしてるの?



無事だよね?



死んでなんか、ないよね?



もし、あなたが既にこの世にいないなら。



私だって、いなくても同じ。



コウくん。



会いたいよ。



コウくん。



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