右手に剣を、左手に君を


どうして私は、あなたを拒絶したりしたんだろう。



本当は、嬉しかった。



死んでしまうかと思うくらい。



嬉しかった。



ごめんね。



勇気がなかったの。



誰かを信じて、裏切られるのが、怖かった。



ただ、それだけなの。



本当はね。



本当は。



私も、あなたの事を……。



あなたが剣を捨てた時。



初めて、自分がバカだった事に気づいたの。



ううん、元々頭は良くないけど。



本当に、バカだった……。



あなたが嘘を、つくはずなかったのに。



優しくて、不器用で。



でも、真っ直ぐで、バカ正直。



私を見つめる、あの目は。



いつだって、星空みたいだった。



静かに包み込むような安心感の中に。



星が、キラキラと瞬いてた。



コウくん……。



今なら、信じられるのに。



全部捨てて、あなたのところに行けるのに。



例え、あなたが年老いて先に死んでしまってもいい。



あなたの限りある命を、見ていたいの。


コウくん……。



好きです。



大好きです。



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