右手に剣を、左手に君を
髪が、銀色に。
まつげの間から見える瞳は、海の青に。
戻っていく。
渚の周りに、清浄な霊力の潮風が吹く。
俺も無意識に、にぎった手から、霊力を送りこんだ。
《滅びよ!》
凛とした声が響くと。
パァン!
何かが弾けたような音がして。
結界が破れたのが、わかった。
「ヨシ……!」
一度手を離し、また剣を構える。
今度は霊力を送りこまず、
格子にされていた南京錠に、
そのまま振り下ろした。
ガキィン!
金属が砕ける音がして。
やっと、その扉が開いた。
すると、足が勝手に、その中に動く。
手も、何もかもが、勝手に。
彼女を求めた。
俺は、渚を。
きつく、きつく。
抱きしめていた。