右手に剣を、左手に君を


「それは、秘密」


「えーっ。何だよぉ」


「健太郎、野暮な事を聞くな」



な、と俺の肩を叩き、雅は上に続く階段を見つめた。



「ここまで、玉藻と迦楼羅は現れなかった。


だがまさか、俺達に気づいていないわけじゃないだろう」


「だよな……ということは……」


「俺達に構っていられないほど、大事な作業の途中という事だ」



その場に、緊張が走る。


何より大切な、妖達の悲願……。


それは……。



「空亡の、完全復活……!」



それ以上、余計な事を言う者はいなかった。


俺達は、お互いの顔を見合わせ……。


いよいよ直接対決する決意を固めた。


魑魅魍魎の王。


空亡に。



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