右手に剣を、左手に君を
完全復活
城の最上に続く階段を昇っていくと。
「何だ、これは?」
階段の先に、扉が現れた。
普通、こんなものあるか?
これまでの階には、当然だが、扉なんかなかった。
「この先に……いるんだな」
つぶやくと、後ろからうなずくような声が返ってきた。
この戦いが、最後になるのだろうか。
「とにかく、完全復活を防ごう」
雅が言う。
「そうだな。じゃあ……行くぞ」
「ちょっと待って」
渚が、俺達を止める。
「お姉さまが援軍を送ってくれるのを、待たない?」
「そんなものが来る保証はない」
「でも、でも……」
「渚」
ためらう渚を見つめる。
渚は、ポッと頬を染めた。
そんな場合じゃないだろうに……。
多少のやりにくさを感じながら、説得する。
「待ってる間に空亡が復活してしまったら、ますます倒せなくなる」
「そう、だけど……。
皆だって、無事じゃ済まないよ」
「お前さっき、今なら何でもできそうって言わなかったか?」
「……言った……」
「な」
手を繋いで、笑いかけると。
渚は、こくりとうなずいた。
後ろから、健太郎の「けっ」という声が聞こえた。