右手に剣を、左手に君を
「何だこりゃ!」
扉の中に入った途端、健太郎がうなった。
それもそのはず。
他の仲間も全員が、自分の目を疑った。
城の天井であるはずのそこには、夜空が広がっていた。
いや、夜空じゃない。
星は、一つもない。
足元も、何もかもが真っ暗で、目が慣れるのに時間がかかった。
そして、どこにも壁がない。
暗闇は、どこまでも続いていた。
幻覚か、結界か何かだろうか。
でなければ、こんなに広いはずはない。
そして、暗闇の先に。
ふわふわと、無数の光が浮かぶのが見えた。
ホタルのような、火の玉のようなそれは……。
間違いなく、学校で大量に奪われた、人間の魂だった。
俺達は顔を見合わせて、そちらへ走っていく。
光がだんだん近づいてきたところで、
浮かぶ魂の中に、2つの人影が現れた。
「……ここまで来てしまったのね……」
その声で、全員の足が止まる。
聞き覚えのある声。
それは、玉藻の声だった。
俺達の前に現れたのは、やはり玉藻と迦楼羅だった。