右手に剣を、左手に君を
渚がとっさに、水の壁を俺達の前に作る。
その向こうで。
「任せろ!早く行けっ!!」
健太郎の声がした。
渚が手を下ろすと、水の壁がなくなる。
その先では、健太郎の布都御魂が、赤い炎を吐き出していた。
玉藻がそれを、器用に避けたのが見える。
が、心配している暇はない。
彼らを信じて、進むしかない。
「渚、行こう!」
俺は右手に剣を、左手に渚の手をしっかり握って。
魂が流れていく方へ、走り出した。
背中に、仲間の剣がうなる音を聞きながら。