右手に剣を、左手に君を
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恒一、頼む。
間に合ってくれ……!
目の前の迦楼羅の背中の向こうを、
恒一は渚の手を引いて走っていった。
それでいい。
もう、大切なものを手離すな。
「よそ見をする余裕があるのか?」
迦楼羅が、緊張した面持ちでこちらを見る。
いつもより余裕がないのは、空亡の完全復活が近づいているせいだ。
それでも迦楼羅は、俺が斬りつけていた剣を、短剣一本で防いだ。
俺は一度、距離を開ける。
そして、十束剣を高く振り上げた。
「鎌鼬(カマイタチ)っ!!」
ビュオ、と宙を切る音と共に振り下ろした剣から。
風が、三日月形の刃(ヤイバ)となって、迦楼羅を狙う!
「はっ!」
一つ、二つ。
風の刃は、避けられ、防がれたが……。
最後の一つが。
ザシュ、と迦楼羅の肩口に命中した。
「な……っ!」
思えば今まで、直接対峙した事のなかった敵。
相手は俺の事を、かなり甘く見ていたようだ。
「ふっ……。
ただの優男だと思っていたぞ。
その力はどうした……」
「話す必要は、ない」
神の口づけを受けたなどと口走れば、また渚が狙われてしまう。
恒一、頼む。
間に合ってくれ……!
目の前の迦楼羅の背中の向こうを、
恒一は渚の手を引いて走っていった。
それでいい。
もう、大切なものを手離すな。
「よそ見をする余裕があるのか?」
迦楼羅が、緊張した面持ちでこちらを見る。
いつもより余裕がないのは、空亡の完全復活が近づいているせいだ。
それでも迦楼羅は、俺が斬りつけていた剣を、短剣一本で防いだ。
俺は一度、距離を開ける。
そして、十束剣を高く振り上げた。
「鎌鼬(カマイタチ)っ!!」
ビュオ、と宙を切る音と共に振り下ろした剣から。
風が、三日月形の刃(ヤイバ)となって、迦楼羅を狙う!
「はっ!」
一つ、二つ。
風の刃は、避けられ、防がれたが……。
最後の一つが。
ザシュ、と迦楼羅の肩口に命中した。
「な……っ!」
思えば今まで、直接対峙した事のなかった敵。
相手は俺の事を、かなり甘く見ていたようだ。
「ふっ……。
ただの優男だと思っていたぞ。
その力はどうした……」
「話す必要は、ない」
神の口づけを受けたなどと口走れば、また渚が狙われてしまう。