右手に剣を、左手に君を
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「ちょっと、どういう事!?

あのイケメン、霊力が倍以上になってる……!」



迦楼羅と戦いだした雅を見て、玉藻が言った。


雅は迦楼羅の火炎地獄を出させないように、

次々と高速で十束剣を振り回していた。


あれだけ長くて重い剣で、よくあんな攻撃ができるもんだ。


まぁ、本人がでかいもんなー。ちっ。



「あいつだけじゃねーぜ!」



自分の剣を振りかざし、玉藻に攻撃をする。


玉藻はそれをヒラリと避けて、息を吸い込んだ。


来る……!



《動かないで……》

「あーわわわわわ!!
聞こえねー、聞こえねーっ!!」



大声を出しながら、両耳をパタパタ叩く。


そのおかげとは言いきれないが、

玉藻の声は、俺には効かなかった。


多分、渚の姉ちゃんのおかげで、パワーアップしたからだろう。



「生意気な……!」



軽い精神汚染が通じないとさとった玉藻は、


その金色の目を細め、般若のような顔をした。


九本の尾が、ざわざわと毛を逆立てる。


妖気が彼女の周りに、渦を巻いた。



「あなたの魂も、空亡様に捧げてあげる」


「やなこった!

誰も殺させるもんか!」



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