右手に剣を、左手に君を


握った剣に、力を込める。


玉藻が先手をうち、長い爪を光らせて飛び込んできた。



「ちっっ!!」



思いがけない速さに、防御に転じる。


剣に阻まれてはみ出した爪に、目の下を傷つけられた。



「あっぶね……!」



爪を剣で弾くと、玉藻はヒラリと空中に飛んだ。


どいつもこいつも、俺を見下ろしやがって!


容赦しねーからな!!



「炎(ホノオ)っっ!!」



ゴウ、と火炎が起こり、暗闇を明るく照らす。


その一瞬だけだったが、小さくなったコウと渚の背中が見えた。


コウ、がんばれ。


いつかは余計な事言って、ごめんな。


渚と一緒に、生き残ってくれ。


きっと、希望はある……。



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