右手に剣を、左手に君を

メキメキメキ！！


魍魎(ﾓｳﾘｮｳ)の首は、俺達がいた地面を容赦なくえぐった。


もうもうと、黒い煙が立ち込める。



「あれに噛みつかれたら、一貫の終わり。

魂を、食われてしまうの」


「知ってるのか？」


「今、思い出したの。
ほら、また来る！」



また俺は、渚を抱えて飛び退く。


何回避けても、首達はしつこく、俺達を追いかけまわした。



「らちがあかないな……っ」


「コウくん、私を離して、剣で攻撃をして！」


「はぁ！？できるわけないだろ！」


「できるよっ、大丈夫だから……っ」



着地すると、渚は自分から、身体を離した。


すると首は、それぞれの方向へ別れて襲う！！



「渚っ！！」



かわしながら、彼女の方を見ると。


渚の周りに、水の壁ができていた。


彼女は空亡の方を指さすように、腕をピンと伸ばし。



《行けっ！！》



水流の矢を、首達に放つ。


それを受けた首達は、それぞれの口から悲鳴を吐いた。


しかし、苦しんではいるが、消えはしない。


俺は、そちらに剣を持って走った。



「うらぁぁっ！！」


首達にに向かって、剣を振り下ろす。


何度も、何度も……。