右手に剣を、左手に君を
「心細いよ……」
「…………」
「お願い。こんなところで、一人に、しないで」
お願い。
もう一度つぶやいた彼女の手を。
俺は即行でにぎった。
すると、渚は嬉しそうに笑い……。
小さな手で、にぎり返してきた。
どうすんだよ、このヘタレ神様……。
こんな時代にいきなり投げ出されて、もう泣きそうじゃないか。
どうすんだって……。
一人にできない。
放っておけないじゃないか。
「……大丈夫だ。行こう」
俺は左手で、彼女の手を引いた。
そのまま学校まで、彼女の歩幅に合わせ、ゆっくりと歩いていった。