右手に剣を、左手に君を


ドクン、ドクン、と、大きな鼓動の音がする。


見上げた渦は、一旦収縮したかと思うと……。


一気に、拡張した。



「!!」

「渚っ!!」



すさまじい妖気が風圧のように、俺達を吹き飛ばそうとする。


俺達は何とか支えあい、その場に立ち続けた。


絶望を、目の前にして……。



《ふふふ……はははは……》



地鳴りのような笑い声も、邪悪さを増す。


そんな……。


こんな、たった一瞬で……。



ただ見守るしかできない、俺達の頭上で。



渦の中心が、ぼこ、と泡立つ。


そして……。


暗闇より暗い、渦の中心に。


血より赤い、巨大な目玉が現れた。



「……!!」



夢で見たのと、同じ目……!!



空亡が……



完全復活、してしまった……!



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