右手に剣を、左手に君を
脱出
妖気の圧力に耐えて、立っているのがやっとな俺達を。
赤い目が、にらんだ。
それだけで……。
「っ!!」
妖気の竜巻が、俺達を飲み込む。
そしてそのまま、空中に放り投げられた。
妖気に巻かれながら、何とか体勢を整え、着地する。
それだけで俺達の皮膚はところどころ傷つき、血を流していた。
「くそ……っ!!」
戻らなければ。
そう思う背中の直後で、仲間の声が聞こえた。
「コウ……」
「健太郎!」
暗くて、一瞬見えなかったが、
声をかけてきたのは、うずくまった健太郎だった。
布都御魂の赤い光が消えている。
彼自身もボロボロだった。
周囲を見回すと、
同じようにうずくまっている雅と。
玉藻、それに迦楼羅がいた。
全員が互角の力で勝負して、限界まで戦ったんだろう。
「恒一……まさか……」
雅が、強ばった顔で先を見つめる。
そこでは、渦の中で光る赤い目が、闇の中でギラギラと光っていた。
「空亡様……っ!」
「完全復活されたんだわ……!」
傷だらけの迦楼羅と玉藻の顔に、希望の光が宿る。
反対に、三剣士の顔には、絶望が陰りをもたらした。