右手に剣を、左手に君を
「見られて……ちょっと、恥ずかしかったの。
龍神の自分が……」
「アホ……。
そりゃ龍だから、可愛くはないけど。
元々龍神だって、わかってたし……」
「でも……でもね、恥ずかしかったの……」
渚はまた、顔を隠してしまった。
そして涙声で、言った。
「……人間になりたいよ……」
それは、渚の本心だった。
できるはずのない事。
でも、望まずにはいられない事。
おとぎ話の人魚のように……。
「俺が……なるべく長生きするよ」
「うん」
「だから……。
ずっと、そばにいてくれ……」
言ってしまって、はたと気づいた。
ずっと、って……。
これじゃ、プロポーズみたいじゃないか……。
渚はわかってるのか、わかってないのか。
ただ、手をどけると。
涙がいっぱい溜まった目で、小さくうなずいた。
「……はい……」
忠信には、もっとロマンチックに言われたのであろう事。
俺の魂の、二回目のプロポーズ。
渚は、それを受けてくれた。