右手に剣を、左手に君を


「お、お、お前ら……」



あまりの出来事に、言葉がつまる。



「あらら、すまないねぇ。

いや、私達はお前達の保護者だから、見守ってやらなきゃと思ってね……」



ばあちゃんの一言で、全員が開き直った。



「そうそう。

昔の大奥なんかは、こうして見張られるのが自然で……」



雅がコホンと咳払いをしつつ、皆を助け起こす。



「っていうか……。

ぶははは、コウ、元気すぎっっ!!」


「健太郎……お前なぁぁ!!」



照れ隠しに当たり散らしてやろうと思ったら、


リカさんが健太郎のまえに、ずいと現れた。


その顔は、真剣そのもの。


ヤバイ……。


絶対、怒られる……。


リカさんは現代で言うなら、かなりのシスコンだ。


渚も裏で座ったまま、ぷるぷるしていた。


しかしリカさんは、意外な言葉を口にした。



「そりゃあ善女は可愛いから、契りたくなるのは当然だけど。

せめて、戦いが終わってからにしなさい」


「はい……?」


「言ったでしょう。
人間と交わると、神の血が汚れてしまう。

二度と龍神の姿に戻れなくなるわよ。

人間でもない、神でもない、中途半端な生き物になってしまうの」


< 311 / 449 >

この作品をシェア

pagetop