右手に剣を、左手に君を
「お、お、お前ら……」
あまりの出来事に、言葉がつまる。
「あらら、すまないねぇ。
いや、私達はお前達の保護者だから、見守ってやらなきゃと思ってね……」
ばあちゃんの一言で、全員が開き直った。
「そうそう。
昔の大奥なんかは、こうして見張られるのが自然で……」
雅がコホンと咳払いをしつつ、皆を助け起こす。
「っていうか……。
ぶははは、コウ、元気すぎっっ!!」
「健太郎……お前なぁぁ!!」
照れ隠しに当たり散らしてやろうと思ったら、
リカさんが健太郎のまえに、ずいと現れた。
その顔は、真剣そのもの。
ヤバイ……。
絶対、怒られる……。
リカさんは現代で言うなら、かなりのシスコンだ。
渚も裏で座ったまま、ぷるぷるしていた。
しかしリカさんは、意外な言葉を口にした。
「そりゃあ善女は可愛いから、契りたくなるのは当然だけど。
せめて、戦いが終わってからにしなさい」
「はい……?」
「言ったでしょう。
人間と交わると、神の血が汚れてしまう。
二度と龍神の姿に戻れなくなるわよ。
人間でもない、神でもない、中途半端な生き物になってしまうの」