右手に剣を、左手に君を
「龍神剣をひとまず渡しちゃうってのは、どうかな?」
「はぁ!?」
とんでもない発言に、全員が身を乗り出す。
「だって……。
皆の傷が癒えるまで、三日じゃとても足りないもの。
ひとまず渡しちゃって、先に皆の魂を返してもらうのは、どう?
生きてさえいれば、後でなんとかできるんじゃ……」
全員が、大きなため息をついた。
お人好しすぎる、この龍神……。
「ふぇっ?皆、どうしたの?」
「あのなぁ。本気で空亡が人間を助けると思うか?
例え、奴隷にするとしてもだ」
「う……」
「完全復活するのに、あれだけの魂が必要だった。
苦労して集めたのに、龍神剣のために、それを手離すと思うか?」
「うぅ……」
渚はシュルシュルと縮んでしまった。
わかってくれればいい。
しかし意外に、渚は引かなかった。
「でも、でもね、龍神剣は、とりあえず産もうか」
「とりあえずって……」
渚は俺を見て、口を開く。
「だって……。
すごい武器なんだよ?
龍神剣をコウくんが持てば、忠信様と同じ条件になるじゃない。
そしたら、空亡も……」