右手に剣を、左手に君を


「龍神剣をひとまず渡しちゃうってのは、どうかな?」


「はぁ!?」



とんでもない発言に、全員が身を乗り出す。



「だって……。

皆の傷が癒えるまで、三日じゃとても足りないもの。


ひとまず渡しちゃって、先に皆の魂を返してもらうのは、どう?


生きてさえいれば、後でなんとかできるんじゃ……」



全員が、大きなため息をついた。


お人好しすぎる、この龍神……。



「ふぇっ?皆、どうしたの?」


「あのなぁ。本気で空亡が人間を助けると思うか?

例え、奴隷にするとしてもだ」


「う……」


「完全復活するのに、あれだけの魂が必要だった。


苦労して集めたのに、龍神剣のために、それを手離すと思うか?」


「うぅ……」



渚はシュルシュルと縮んでしまった。


わかってくれればいい。


しかし意外に、渚は引かなかった。



「でも、でもね、龍神剣は、とりあえず産もうか」


「とりあえずって……」



渚は俺を見て、口を開く。



「だって……。

すごい武器なんだよ?

龍神剣をコウくんが持てば、忠信様と同じ条件になるじゃない。

そしたら、空亡も……」


< 315 / 449 >

この作品をシェア

pagetop